あらすじ
映画『正義の行方』は、1992年に福岡県飯塚市で発生した二人の女児の殺害事件、通称「飯塚事件」を描いたドキュメンタリーです。1994年に逮捕された久間三千年は、DNA鑑定により犯人とされ、2008年に死刑が執行されました。しかし、死刑執行翌年に冤罪を訴える再審請求が提出されるなど、事件の余波は未だに続いています。この映画は、事件に関わった弁護士、警察官、新聞記者がそれぞれの視点で語る「真実」と「正義」をもとに、事件の全貌と日本の司法制度の問題点を掘り下げています。監督は、多くの死刑や犯罪に関するドキュメンタリーを手がけたNHKディレクターの木寺一孝。2022年にはNHK BSで放送され、令和4年度文化庁芸術祭・テレビドキュメンタリー部門大賞を受賞した作品です。
監督：木寺一孝
目次
映画:正義の行方のレビュー・感想
死刑執行された男、その無実の叫び。
映画では、事件に関わった元警察官、地元新聞記者、DNA鑑定研究者、弁護士たちへのインタビューを中心に、それぞれの「正義」と事件の真相に迫っていく。特に、死刑執行後も無実を訴え続けた久間氏と、家族たちの姿は胸を打つ。
事件の真相は未だ闇の中だが、この映画は、冤罪という恐ろしい悲劇と、真実を明らかにしようとする人々の姿を描くことで、観る者に深い問いを投げかける。死刑制度や司法制度の問題点についても考えさせられる作品だ。