あらすじ
映画『日本で一番悪い奴ら』は、2002年に北海道警察で発覚した「稲葉事件」を題材に、白石和彌監督が描いた実話に基づく犯罪ドラマです。主人公の諸星要一（綾野剛）は、柔道の腕前を買われて北海道警に採用された刑事で、正義感を持ちながらも目立たない存在でした。しかし、ベテラン刑事の村井（ピエール瀧）から「裏社会にスパイ『S』を作れ」という助言を受け、諸星は次第に「S」と呼ばれる捜査協力者を使い、危険な捜査に踏み込むようになります。
裏社会のスパイとの協力を通じて、諸星は暴力団との関係を深め、次第に警察の正義を越えた危険な世界へと足を踏み入れていきます。諸星の行動は一線を越え、悪事に手を染めるようになり、やがて事件の全貌が明らかになっていくのです。
本作は、正義と悪の境界線が曖昧になる中で、主人公がどのようにして堕落していくかを描き、組織の腐敗と警察の闇を鋭く描写しています。
監督：白石和彌
キャスト：綾野剛
キャスト：YOUNG DAIS
キャスト：植野行雄
キャスト：矢吹春奈
キャスト：瀧内公美
キャスト：田中隆三
日本で一番悪い奴らを見た感想・レビュー
本当に悪い奴らは誰だ？
世の中の不正や不条理を一切許せず、生きるということに強い正義感と誇りを持っている人間にとっては、本当に胸糞悪い映画だったろう。だが冷静に考えると私が生きた世界もそんなに清廉潔白であったとは思えない。この作品に出てくる北海道道警のような社会は何処にでもある。人は自分の都合で変わり権力が常にうつろえるものだ。
根が真面目過ぎる人ほど組織に利用され、利用された上で貶される。諸星はまさにそんな奴だったろう。劇中に出てくる村井も元々は真面目な刑事だったに違いない。薬に溺れて絶望の淵に立たされた時に諸星は己を知るが、この後味の悪さはあたかも清い川に生きていると勘違いさせられている人間こそ画感じるものだろう。でも実は世の中に清い川など存在しない。
エンディングのスカパラの曲が、大変に心地よく作品を締めてくる。悪にして世の中の実情が描かれた作品だと思う。