あらすじ
映画『パリ、テキサス』は、ビム・ベンダース監督による傑作ロードムービーで、1984年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した作品です。物語は、テキサスの荒野をひとりで彷徨っていた男トラヴィスが、ガソリンスタンドで倒れたことから始まります。彼は記憶を失っており、持ち物を手がかりに、弟ウォルトが連絡を受けて迎えに来ます。ウォルトは、4年前に失踪したトラヴィスであることを確認し、彼を家に連れ帰ります。
徐々に記憶を取り戻していくトラヴィスは、失踪していた間に疎遠になった幼い息子ハンターと再会します。二人は次第に絆を取り戻し、トラヴィスは息子とともに、長らく離れていた妻ジェーンを探す旅に出ます。旅の途中、彼らは自らの過去と向き合い、再び家族としてのつながりを取り戻そうとしますが、再会は別れへとつながっていきます。
本作は、ライ・クーダーの哀愁漂う音楽が作品全体に深い感情をもたらし、ハリー・ディーン・スタントンが演じるトラヴィスの孤独と葛藤、そして家族との再会を丁寧に描きます。ナスターシャ・キンスキーが演じる妻ジェーンとの再会シーンは特に印象的で、繊細な人間ドラマが展開されます。
監督:ビム・ベンダース
キャスト:ハリー・ディーン・スタントン
キャスト:ナスターシャ・キンスキー
キャスト:ディーン・ストックウェル
キャスト:オーロール・クレマン
キャスト:ハンター・カーソン
キャスト:ベルンハルト・ビッキ
パリ、テキサスを見た感想・レビュー
とにかく大人のせつなさのある映画
主人公は昔、妻と息子を捨てて旅に出ていた。その兄がテキサスの砂漠で行き倒れになっていると弟に連絡が入り、迎えに行くところから物語は始まる。どうして兄が妻と息子を捨てたのかがやがて明らかになるのだが、その理由をどう思うのかは視聴者の成熟度やどのような恋愛経験をしてきたのかによってくる。恋愛というのは最高に美しい刹那が誰にでも存在するものであり、そこから熟成していくのであるが、その刹那だけがほしいと思うのであれば、主人公と同じ感覚を抱けるのではないだろうか。最後、主人公と妻は元の鞘に収まらず、夫は再び旅に出る。最高に美しい刹那が、とうに過ぎ去ってしまっていて、再びは手に入らないものなのだと考える主人公が切ない。妻はなスターシャ・キンスキーだが最高に美しく、主人公の感覚を最高に引き立てる。